総督の拳

(1) 討論相手の主張の撃破

a 論破の定義

 論破とは、相手の主張に対して、対抗する主張を提示し、その主張の最も重要な部分における妥当性で相手に対する優越を獲得し、相手の主張を無効化することを言う。この際、必ずしも相手の主張と等価の主張(論)を展開する必要はない。

b 論破の形態

(a)論拠を主体とした論破

 論拠を主体とした論破とは、史料等の根拠により、通常、単一の根拠によるか、または複数の史料等の相互補完的作用によって、相手の主張の不備を証明しようとするものである。これには、予備知識、史料等の準備が必要であるが、必要な準備が完了していれば、議論自体は、さほどテクニックを必要としない。

 論拠の裏付けは、打撃力に直結すると同時に、その論拠の正確性を否定され、主張全体が崩壊することを避けるるための重要なポイントとなる。

(b)論理を主体とした論破

 論理による撃破とは、相手の主張の論拠、導き出される結論に対して考察し、その論理的な破綻を指摘し、相手の主張を無効化しようとするものである。これには、スレッドの本文が示す論理の核心となる論理の流れについて、その妥当性を検証し、導き出される結論が妥当であるかどうか、相対化して矛盾がないことを確認する必要があり、これは論破を図る者の思考の論理性、一貫性、事象の相対化の能力等、その討論能力・技術そのものに依拠する部分が多いが、当該事項に関する準備は論拠による撃破に比較して節約できる。

(c)論破の一般的形態

 上記の2つの形態は完全に分離して行われるものではなく、通常、両者の併用となるが、その比重において論拠に重点をおいた要領と、論理に重点をおいた要領に区分できる。一般に、長期的かつ大規模な論争は前者が適し、短期的かつ小規模な論争においては後者が適する。

 2名以上の者が協同して論破を図る場合には、事前に論破要領、使用する史料等について打ち合わせを行うことが望ましいが、そのいとまがない場合は、全員の主張を速やかに相手の主張に対して最も深く切り込んでいる者の主張に集約させることが重要である。彼我が混戦状態にある場合においても、速やかな主張の集約が必要となる。

(2) 誹謗

a 掲示板における誹謗

 誹謗は、一般の議論においては禁止されている事項であるが、翻訳掲示板においてはその限りではない。誹謗は、相手の精神的安定を弱体化または喪失させ、その論理の破綻を引き出すか、相手を自分に誘導するために使用される。誹謗は、相手が苦痛と感じ、無視できない事項に対して的確に指向されなくては効果を生じない。使用時期や彼我の態勢を考慮しない誹謗は、効果がないばかりでなく、我への支持を失わせ、態勢的な不利を招くので、使用には十分な注意が必要である。

b 誹謗が使用できる環境

 正確な論拠・論理と誹謗を比較した場合、言うまでもなく論拠・論理が優越するため誹謗は我が態勢的に圧倒的に有利な条件で、補助的に使用されなくてはならない。相手の誹謗に対しては、基本的に無視し、正確な論拠または論理の優越を示すことによりその効果を無力化する。これ故に、論理的に議論を進める相手に対し、我が誹謗による態勢の逆転を図るのは極めて危険である。

c 誹謗と論拠・論理の併用

 圧倒的に有利な態勢にあって、相手の苦痛とし、避けて通ることが出来ない事項に対して、論拠・論理と誹謗が併用できる場合、討論相手の集団を集約させ、一挙に殲滅できる機会が生ずる。この場合、誹謗はあくまでも相手を誘致するために使用し、論拠及び論理で打撃することが必要である。相手がこれを避けた場合においても、本来避けて通れない問題を避けたという精神的苦痛を与えることが出来る。

d 誹謗の責任

 誹謗は、いかなる場合においても自己の絶対的評価の低下を伴うため、使用にあたっては当初からそれらの責を負うことを認識し、誹謗自体を正当化するいかなる方便も使用してはならない。


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Last-modified: 2007-01-19 (金) 22:34:58 (4624d)