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証言の取り扱いについて(「日本軍の慰安所政策について」 補注1)

 永井は、「日本軍の慰安婦政策について」補注1及び「日本軍の慰安婦システムの真実」において、慰安婦募集における詐欺及び誘拐の事例として、「南寧憲兵隊の元憲兵曹長の回想」、「第五九師団の元伍長の証言」を挙げている。南寧憲兵隊の件は、ある憲兵曹長が朝鮮人慰安所経営者から「慰安婦は朝鮮から騙して連れてこられた」という告白を聴き、不憫に思ったが何らの処置を取らなかったとするものであり、第五九師団の件は、日本から軍の慰問に来た女性がそのまま慰安婦にされたとするものである。&br;&br;
 これら二つの例は、いずれも裏付けとなる事実が確認されておらず、特に後者にあっては、永井自身が「この例も、話が事実なら」と永井自身が事実関係の確認ができていない事を認めている。しかしながら、永井はこの事実が確認されない証言をもって、「一九三七年末から一九三八年初めにかけて軍慰安所が軍の後方組織として認知されたことにより、事実上刑法旧第二二六条はザル法と化す道が開かれたのだといってよい。それは警保局長通牒が空文化したことを意味する。」と軍及び政府(内務省)が法律及び省内の規則に組織的且つ故意に違反した事実と認定し、その後の論の展開においても「誘拐・詐欺の事実」として扱っているのだが、前提となる事実の裏付けを欠いた状態のまま、結論を導き出す手法では、「元兵士の証言がその証拠となる。」という永井の主張は妥当性を欠く。


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