danshiari/科学の子 その2


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みなさん、今日も科学のお勉強です。

「科学」といっても、難しいことはありません。
簡単なことですから、しっかりと学んでください。


まずは、前回の内容をしっかりと思い出してください。
忘れてしまった人は、もう一度読み返しましょう。
(danshiari/科学の子)
思い出しましたか?

前回は「第三者による検証」が、大切だという話をしました。
「第三者による検証」を受けて「正しくない」という判定を受けたならば、「仮説」は間違っていたことになるというお話でした。
このことを「仮説が棄却される」と言います。

では、自分の意見=「仮説」が棄却されない為には、どうしたらいいのでしょうか?
その方法は、たった一つしかありません。
自分自身で、自分の仮説を「検証」して、仮説を確かなものにする。
これだけです。

この「検証」は、いい加減に行ってはいけません。
そんなことをしたら、「第三者の検証」に耐える仮説にならないからです。
他人は、自分を甘やかしてはくれません。
ですから、自分が「検証」をする時も、自分を甘やかしてはいけないのです。

自分を甘やかさないで、しっかりと「検証」を行うには、どうすればいいでしょうか?
そのためには、次の3つのことを守ってください。
 ・検証する「仮説」を明確にする
 ・検証に用いる「条件」を明確にする
 ・検証の途中で、論理の飛躍が無いようにする
わかりますか? 数学で「証明」をするときと、全く同じです。

次の例を見てください。
 1.犬は動物である
 2.猫は動物である
 3.したがって、犬は猫である
これは「三段論法の誤り」の例です。

この例では、まず、論理が飛躍しています。どこかわかりますか?
1番と2番は「条件」です。ということは、2番から3番に移るところで飛躍していることになります。
では、論理が飛躍しないように書いてみましょう。
 1.犬は動物である − 条件1
 2.猫は動物である − 条件2
 3.条件1と条件2から、犬も猫も共に動物であることがわかる
 4.したがって、犬も猫も動物であるといえる

論理の飛躍が無くなったら、正しい結果になりました。
でも、検証したい仮説とは違ってしまいました。
仮説を明確にして、もう一度やってみましょう。
 0.「犬は猫である」という仮説が正しいかどうか検証する
 1.犬は動物である − 条件1
 2.猫は動物である − 条件2
 3.条件1と条件2から、犬も猫も共に動物であることがわかる
 4.しかし、(全ての)動物は犬ではない(したがって、犬でない動物も存在する)
 5.同様に、(全ての)動物は猫ではない(したがって、猫でない動物も存在する)
 6.したがって、犬も猫も共に動物であることをもって、犬は猫であるとは言えない

今度も正しい結果になりました。
ここで注目してほしいのは、括弧書きの部分です。
最初に示した例が成り立つには、
 ・全ての動物は犬であり、同時に全ての動物は猫である
という条件が必要だったのです。
つまり、条件を曖昧にして、さらに論理を飛躍させて、誤った結論を導いたのです。
これで、最初に検証しようとした仮説=「命題」は間違っていたことがはっきりとしました。

忘れないように、もう一度繰り返します。
 ・検証する仮説=「命題」を明確にする
 ・検証に用いる「条件」を明確にする
 ・検証の途中で、論理の飛躍が無いようにする
今まで見てきたように、これはとても面倒な作業です。
しかし、しっかりと検証を行うためには、とても大切なことです。

命題が、はっきりと定められているか。
条件が正しくて、曖昧なところは無いか。
論理は正しくつながっていて、飛躍しているところはないか。

この3つを、しっかりと見つめること。
他人の仮説に対してだけではなく、自分の仮説に対しても、同じように、しっかりと見定めること。
これが「科学の子」である私たちに、求められていることなのです。



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Last-modified: 2006-02-28 (火) 00:50:46 (6622d)